優しく、そして儚い。すごく透明感のある作品です。「きみにしか聞こえない―CALLING YOU 」
どうも、ゆんかです。
今回紹介するのは、乙一さん著作のきみにしか聞こえない―CALLING YOUです。
(君にしか聞こえない)
私にはケイタイがない。友達が、いないから。でも本当は憧れてる。いつも友達とつながっている、幸福なクラスメイトたちに。「私はひとりぼっちなんだ」と確信する冬の日、とりとめなく空想をめぐらせていた、その時。美しい音が私の心に流れだした。それは世界のどこかで、私と同じさみしさを抱える少年からのSOSだった…。(「Calling You」)誰にもある一瞬の切実な想いを鮮やかに切りとる“切なさの達人”乙一。表題作のほか、2編を収録した珠玉の短編集。(bookデータベースより)
やっぱ乙一さんの短編好き。
短編以外も好きだけど。
あまりにも素敵なので短編を個別にかるーく感想書きます。
この本には3つの短編が収録されています。
「calling you」
世にも奇妙な物語もしくはSFのような要素があります。
携帯電話を持っていない、持っていてもかける友人がいない女子高生が、脳内で携帯電話を持つのです。
けれど、自分の頭の中にしかないはずの携帯から電話がかかってきます。
電話をかけてきた少年と仲良くなり、会うことになるのですが、その後に意外というか明かされていなかった真実に気づくことになります……。
「傷」
家庭環境も悪く、学校でも上手くいかない主人公と綺麗な顔立ちの少年の話です。
ある秘密を共有することで二人は仲良くなるのですが、その秘密が物語の根幹ともいえます。
悲しい、というかある意味とても綺麗な作品なのかもしれないと思いました。
自己犠牲。それは尊いのかもしれませんが、合理主義の私からすると理解に苦しみます。
けれど、あまりにも眩しくて、そして儚いのだと感じました。
「華歌」
ある事情から入院している主人公。
同室の二人とは仲が悪いわけではないが良いともいえない、そんな関係でした。
あるとき、林で人間が生えている?この表現で正しいのか微妙ですが、人間がくっついた植物を見つけます。
それは、少女の姿をしており、とても綺麗でした。会話をすることはできませんが、素敵な歌声を披露してくれます。
いつしか、その歌声は寂しい入院生活の活力となり三人も前より良い関係になります。
その少女の正体はひょんなことから分かるのですが、本当に最後のラスト五行くらいで、え!?と驚くことがあります。
二度見しました。笑
どの短編も不思議で、でも引き込まれる素敵な作品でした。
乙一さんの作品を読んだことのある方、ない方どちらもぜひ読んでみてください。