イヤミスの女王、湊かなえさんのデビュー作「告白」読んでみた
どうも、ゆんかです。
今回は、湊かなえさんのデビュー作である告白を読んでみました。
(告白)
ざっくりとしたあらすじ
このクラスに娘を殺した人がいる。
そんな衝撃的な内容から始まり明かされる犯人。
話はそこで終わらず、複数の視点で事件について語られていく。
私は最初、クラスメイトにいじめられて自殺でもした娘をだれが死に追いやったのか?というような話だと思っていたのですが全然違いました。
シングルマザーで担任教師である森口は、5歳程の娘を会議が遅くなる水曜日だけは、託児所へ16時に迎えに行き、会議が終わるまで学校の保健室で預けていました。
しかし、ある日。
会議が終わり娘を迎えに行っても娘がいません。
話を聞いたクラスの子が一緒に探してくれ、ようやく見つかります。
娘はプールで溺死していました。
誤って落ちたのだろう。
警察では事故ということで処理されました。
しかし、その犯人が誰なのか。
森口先生から語られます。
先生は、直接名前を言いませんでしたが、クラスメイトには誰であるのか分かっていました。
先生はその言葉を最後に教師を辞職しました。
最後に、エイズ患者の血液入りの牛乳を犯人に飲ませるという置き土産を残して……。
その後、クラスがどうなったのか。
もういない先生に変わりクラスメイトあるいは当事者である犯人視点で描写されます。
新しく担任になったのは新任の熱血教師。
ギリギリで均衡を保っていたクラスは、彼の言動が発端となり一気に崩壊していきます。
ミステリー小説ならば、最後に犯人やどうやって行ったのかの推理が語られますが、今作の告白では最初にそれが語られています。
そのため、その後はなぜ犯行を行ったのか、それによってどうなってしまったのか。というある種、特殊な作りになっています。
文章は、難しい表現は使われておらず、語り口調だったり自分の心情についてが多いためあっさりと読めると思います。
これがデビュー作!?と思うと才能が恐ろしいです。羨ましい!
ずっと、気になっていた作品だったので読めて良かったです。
そして、作者の湊さんがイヤミスの女王?って言われてる意味が理解できました。
ちゃんとピシッと終わらせてくれているので、すっきりはしてるんだけど、もやもやが混在するみたいな不思議な感覚。
犯人のAくんは少し道を踏み外してしまったけど、これから更生していくのかな?と思ったところで後半のやらかし具合が……。
この作品の好きな所はどの登場人物もすごく人間らしいということです。
嘘をつく。ごまかし。家族を想う心。自分勝手。色々なことを抱えながら生きていたり、間違いをおかすのだと考えることができました。
救いがないけれど、それが逆にリアルでした。
そして、救いがないからこそ、ある種のすっきりとした読了感を与えるのかもしれません。
小説が原作ですが、映画化もされているためどちらか、あるいは両方見てみると面白いと思います。