引きこもりを他人事だと思っていませんか?「子供の死を祈る親たち」
どうも、ゆんかです。
今回本の感想含めた紹介をするのは押川剛さん著作の子供の死を祈る親たちです。
(子供の死を祈る親たち)
※引きこもりとは定義が曖昧ですがこの記事の中では就労をせずに親に依存し社会との関わりを絶っている人のことについて述べています。
親子間の溝はますます深くなっている。自室に籠もり、自殺すると脅して親を操るようになった息子。中学時代、母親の不用意な一言から人生を狂わせ、やがて覚醒剤から抜け出せなくなった娘。刃物を振り回し、毎月30万も浪費するひきこもりを作ったのは、親の強烈な学歴信仰だった…。数々の実例からどのような子育てが子供の心を潰すのかを徹底的に探る。現代日本の抱える病巣を抉る一冊。(bookデータベースより)
あ〜。あ〜〜。
内容が濃ゆくて頭がパンクしそう。
でも、すごく刺激的で素晴らしい作品でした。
引きこもり、ニート、精神疾患、家庭内暴力、麻薬や覚醒剤、病院など様々な社会的な問題に関することが詰まった内容です。
そしてこれはフィクションではなく、実際に現在の日本で起こっていることだと考えると胸が痛い、頭が痛い。
日本は様々なことが進化して先進国と言われていますが人間の本質や弱者が虐げられるということはなかなか無くならないのだと思いました。
そして、引きこもりや家庭内暴力は他人事ではなく誰にでも起こりうることなのだと思うと怖かったです。
この作品では、引きこもりの家族を持ち著者に助けを求めて最終的に自宅から離し、入院や施設に入ってもらう。そうするしか他に道がない人達ばかりです。
その中で生い立ちを聞くということをします。
テレビやネットで引きこもりについて取り上げられることもありますが、本人やその家族の生い立ちやなぜそうなったのか?という所まで知り、その中で決めていく。というのはとても良い考えだと思いました。
松本潤さんが出演されていた99.9 刑事専門弁護士というドラマの中でも、話を聞くときに「まずは生い立ちから」と言っていたのを思い出しました。
生い立ちを知ることで、なぜ今の状況になっているのか性格や家族との関わりについて知ることが出来ます。
そうしているからこそ、本人も著者に心を許して話をしてくれるのだと思いました。
例えば、私達が街中でいきなり奇声を発するおかしな人に出会ったときに感じる気持ちは恐怖や嫌悪感だと思います。
けれど、その人にも生い立ちがあり、様々なことが絡み合って奇声へと繋がっているのかもしれない。そうこの作品を読んで感じました。
まぁ、感じただけで全く関わろうとは思わないのですが。
よく、毒親なんて言葉がありますが、今作での引きこもりになっている人の家庭内環境はあまりよくありませんでした。
とはいっても、劣悪な環境にいても善良に育つ人間もいます。
しかし、全ての人間がそうではありません。
スイスチーズモデルはよく問題発生で使われるモデルなのですが、穴が空いたチーズのようにいくつもの隙が重なり合って問題へと至ります。
逆を言えば、どこかで防ぐことができれば問題は発生しません。
私は似たような劣悪な環境でも異なる人生を歩む人がいるのもこういった理由があるからなのではないかと思います。
例えば道を正してくれる人と出会う。
例えば何かのきっかけで価値観が変わる。
例えば自分のストレスを発散できる手段を見つける。
などなど。どこかで防がれることで引きこもりにならない場合が多いのだと思います。
けれど、引きこもりになっている人はそういった変わるチャンスがなく、あっても変われずにスイスチーズの穴のようにすり抜けていき現在の状況になっているのだと思います。
あくまでも私がこの作品を読んでそう感じただけなので一意見として感じてください。
そう考えると自分が引きこもりにならずに済んでいるのは幸運なことだと思います。
この作品を読みながら、あまり勉強のことを言われずに自由に育ててくれた親に感謝の気持ちが溢れてきました。
ありがとう。
そして、引きこもりによって苦しむのは両親だけでなく本人もなのだと分かり、なんだか誰も幸せになれない。悲しさしか生まないことなのだと思いました。
すごく様々なことを考えることができる作品です。
医療従事者の方や、子供を持つ親には特に読んで欲しい作品だと思います。
◯ちょっと記事が重くなったので引きこもりでも楽しんでいる漫画を紹介
働かないふたり
ニー子はつらいよ