父親を刺した女子大生、その動機は?「ファーストラヴ」
どうも、ゆんかです。 今回、感想含めた紹介をするのは、島本 理生さん著作のファーストラヴです。(ファーストラヴ)
夏の日の夕方、多摩川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。
彼女は父親の勤務先である美術学校に立ち寄り、あらかじめ購入していた包丁で父親を刺殺した。
環菜は就職活動の最中で、その面接の帰りに凶行に及んだのだった。
環菜の美貌も相まって、この事件はマスコミで大きく取り上げられた。
なぜ彼女は父親を殺さなければならなかったのか?
臨床心理士の真壁由紀は、この事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼され、環菜やその周辺の人々と面会を重ねることになる。
そこから浮かび上がってくる、環菜の過去とは?
「家族」という名の迷宮を描く長編小説。(内容紹介より)
あらすじの内容に惹かれて購入し読んでいったのですが、なにが真実なのか?や家庭環境問題について深く考えさせられる作品でした。
父親を刺したかんなちゃん、母親、父親の三人の家庭内の話だけではなく、誰も助けてくれない、家庭内のトラブルには踏み込めない、そして小さな女の子が一人で生きることは難しいのだと感じました。
特に幼い頃は、自分の家が社会です。それが年齢を重ねることで、学校、バイト、会社、恋人、夫婦、と様々なコミュニティで出来てきます。
けれど、その中で歪んだものが紛れ込んでいた場合、親が守ってくれなかった場合はとても悲しい結果があるのだととても辛くなりました。
しかし、作品内容やかんなちゃんの家庭環境は劣悪でしたが、主人公の心理カウンセラーの女性や旦那、義理の弟のキャラクター性が非常に魅力的でした。
とくに、旦那さんが素敵すぎて、清涼剤のように作品の中で良い緩和になりました。
なんというか、思っていたよりもドロドロはしておらず、どちらかといえば透明や白い雰囲気の作品でした。
すごい表現方法が下手くそで申し訳ないですw
最初は、真実を話してくれなかったかんなちゃんが少しずつ主人公の由紀さんに心を許していき、自分の罪に向き合っていく姿は、最後まで自分は悪くない!と話す母親と対極になっており、これから幸せな人生を歩んで欲しいと切に願いました。
かんなちゃん、母親、恋人、親友など様々な人の話を聞くことで少しずつ、かんなちゃんがどんな家庭内環境にいたのか?なぜ、父親を刺したのか?と徐々に分かっていくため、一度読むと謎が気になって仕方がありません。
ぜひ読んで欲しい作品です。