本好きや小説家志望におすすめの本みーっけ!「ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論」
5巻も出てるのは知らなかったよ…。面白いから、そりゃ続編出るよね。
本好きのためのミステリ!という帯に惹かれて購入。
作中では有名な文学作品が登場しており、読んでいるとより楽しめる!とありましたが、記載7作品中1つしか知りませんでした。
そんな私でも楽しめたので、文学作品に全く触れていない人でも大丈夫!ちゃんと楽しめました。
新人作家である杉浦李奈さんが主人公となって物語は進んでいきます。
彼女は小説投稿サイトのカクヨム で人気が出て、本を発売。
合計3作品を出版している作家です。
とはいえ、生活はギリギリ。本人も自分には才能がないと落ち込む日々です。
そんな彼女は、処女作が売れに売れている有名作家である紳士、岩崎翔吾(いわさき しょうご)と芥川と太宰についての対談をすることになります。
その縁から、新作小説の帯をお願いすることになるのですが、本が出版される前に岩崎に盗作疑惑が起こってしまいます。
彼の人となりからは盗作をするようには見えなかったこと。
2作目と最初の作品は同じ作家が書いたようには見えないこと。
しかし、よく知る人物は彼が書いた作品だろうと話します。
いったい何が真実で、何が嘘なのか? 盗作疑惑を晴らすために表に出るのではなく、失踪した岩崎。 彼はどこにいるのか?
作家であるのに、ノンフィクション作品を書くために取材に勤しむ中で、だんだと真実のピースが見つかっていきます。
最後まで読むことで、なぜ1作目と2作目でこんなにも違うのか。
彼を知る人の評価が変わるのか。
全ての謎が解けて非常にすっきりとした読了感を味わうことができました。
そして、人間の恐ろしさも同時に感じました。
もっと色々語りたいですが、ネタバレになりそうなので我慢します!
出版についてのリアルな話や、小説家やフリーランスって辛いよねっていう現実的な話も出てくることで人間臭さを感じて登場人物たちに共感が持てました。
太宰治と芥川の対談や作中を通して、マズローの欲求5段階の話がよく出てきます。
私は元々マズローの話は知っていたのですが、そこと作家の人間性や小説を書く欲求とを結びつけて考えたことはなかったため「なるほどなぁ」とかなり楽しんで読んでいました。
作中の文学作品も読みたくなるし、最後の解説にて同じ作者の『小説家になって億を稼ごう』に触れているのですが、そちらの作品も気になりました。
(2022.8.19追記)
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